40代独身男性の多さにビックリ 2

そのもう一つの要素とは何か?


それは、現代の青年男子の性能力の低下現象です。いわゆる「環境ホルモン」といえば、理解してもらえるだろうか。ちょうど1960年代に話題になり、その後、環境問題のバイブル的存在となった、「沈黙の春」(レイチェルカーソン著) という本があった。

『沈黙の春』(ちんもくのはる、Silent Spring, ISBN 978-4102074015)は、1962年に出版されたレイチェル・カーソンの著書。DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し訴えた作品。

1964年に新潮社から初めて日本語に訳された際の題名は、『生と死の妙薬-自然均衡の破壊者〈科学薬品〉』(せいとしのみょうやく―しぜんきんこうのはかいしゃ・かがくやくひん)だった。翻訳は青樹簗一(南原実)。現在は上記のタイトルで文庫版が刊行されている。

あまり私は好きではないが、NHK番組で、環境ホルモンが騒がれだしたとき、頻繁にアメリカの五大湖の映像が流れた。生息する生物の様相がかわり、個体数が、激減していると。その原因は、長らくわからなかったが、どうも、五大湖周辺の、工場から排出される廃液に含まれる化学物質であるらしい。ビスフェノールA、ダイオキシン、ノニルフェノール、PCB、TBT、DDTなどが、いわゆる環境ホルモンと言われるもので、これらの物質が、原因で、生息生物の生殖能力が低下し、個体数が減った。 観察によると、生物の生殖器に異変が起きていて、子孫を残すことができないという。その後、我々の生活の中にこれらの環境ホルモンが、忍び込んでいることが徐々にわかり始め、センセーショナルに問題化したのである。

私は、昭和26生まれで、日本が戦後復興しつつ、高度経済成長していく、まさにその中に生きてきた一人である。その時期には、さまざまな有害物質がそこここにあった。今、そこら中に有害物質を撒き散らして知らん顔している中国などは、当時の日本の比ではない。その程度の日本でも、公害問題が起こった。公害問題は、目に見える形で、我々の前に現れた。しかし、環境ホルモンは、低く浸潤して、明らかに姿を現さないように、我々の生活の中に忍び込んでいたのである。

それが、今の青年男子の性への淡白さ、草食系男子などと称される現象の根源にあるのではないかと、私は、心配しているのである。縄文時代からはじまり、江戸末期からつい20世紀半ばの世界大戦ごろまでの、生殖能力旺盛の日本男子がいなくなり、草食系男子に変わりつつある背景に、単なる文化的レベルでの変化は、結果であって原因は、環境ホルモンにあると私は考えている。結婚という制度を変えていくことは別に問題ではなく、体制さえ整えば、母子家庭でもいい。あるいは父子家庭があっても構わない。いろんな形があっていいわけだ。しかし、人口減少に歯止めがかからないのは、生物学的な問題も度外視できない重要な事項であると、わたしは、注意喚起したいのである。

(了)



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