枇杷の種は?


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大人の健康生活ガイド
 インターネットなどで健康に良いと紹介されている「ビワの種」に、天然の有害物質が含まれ、多量に摂取すると健康を害するおそれがあるとして、農林水産省は粉末にするなどして食べないよう注意を呼びかけている。
 レシピサイト「クックパッド」などの運営元は、ビワの種を使った一部のレシピを削除するなど、対応を行っている。
ビワの種子に天然の有害物質が含まれる
 ビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ(サクランボ)などのバラ科植物の種子や未熟な果実の部分には、「アミグダリン」や「プルナシン」という青酸を含む天然の有害物質「シアン化合物」が多く含まれている。
 インターネットや書籍の情報では、シアン化合物の一種である「アミグダリン」を「ビタミンの一種」「ビタミンB17」と称したり、「がんに効果がある」と謳い、健康に良い成分としているものがある。
 しかし、アミグダリンをビタミンとする説は現在では明確に否定されており、アミグダリンの有効性に関する情報について科学的に十分な根拠はない。
 むしろ、アミグダリンから体内で青酸ができる可能性があるため、健康への悪影響が懸念される。実際に、海外では、アミグダリンを含む生のアンズの種子を体に良いとして大量に食べたことによる健康被害や死亡例が報告されている。
「クックパッド」などが公開の取り下げ
 料理レシピの検索サイトには、ビワの果実を食べた後に残ったビワの種子を活用したレシピに関する情報(ビワの種子を使った杏仁豆腐やビワの種子の煮物など)が多く掲載されている。
 現時点では、ビワの種子を使った料理を食べたことによる健康被害の報告はないが、原料であるビワの種子には高濃度のシアン化合物が含まれる場合があることから、ビワの種子を使った料理にシアン化合物が残っている可能性があるので、食べる場合は注意が必要だ。
 農水省の注意喚起を受け、「クックパッド」などのレシピサイトは、「びわの種子についての注意点」と題した注意喚起を掲載し、公開の取り下げを進めている。農水省はビワだけでなくバラ科植物の種には同様に有害物質が含まれていると注意喚起しており、これらの種を使ったレシピについても今後、対策を検討するという。
果実を食べることによる健康影響は無視できる
 熟した果肉に含まれるシアン化合物はごくわずかだ。果実を未熟な状態で食べてしまったり、果実を種子ごと食べてしまったりすることは稀なので、果実を食べることによる健康影響は通常は無視できる。
 しかし、種子を乾燥して粉末に加工などした食品の場合は、シアン化合物を一度に大量に摂取してしまう危険性がある。ビワの種子粉末食品のうち、特に濃度が高いものでは、小さじ1杯程度の摂取量でも、健康に悪影響をもたらす量の高濃度のシアン化合物が含まれているという。
 ちなみに、熟していない青梅にはシアン化合物が高濃度に含まれているので、そのままでは食べるのには適していないが、梅干しや梅酒、梅漬けに加工をすることにより、シアン化合物が分解し、大幅に減少する。
ビワの種子を粉末にした「健康食品」から有害物質が
 シアン化合物の一種である「アミグダリン」は、ビワなどのバラ科の植物に天然に含まれている主なシアン化合物で、マンデロニトリルに2個のグルコースが結合した構造をもっている。
 アミグダリンは、植物に天然に含まれる酵素や人の腸内細菌により、マンデロニトリルとグルコースに分解され、マンデロニトリルがさらに分解されると、ベンズアルデヒドと青酸ができる。青酸は、一度に大量にとると、頭痛、めまい、悪心、おうとなどの中毒症状を起こし、場合によってはけいれんや呼吸困難になり、死に至ることもある。
 なお、アミグダリンが分解してできるベンズアルデヒドは、バラ科の果実、杏仁(アンズの仁)、アーモンド(バラ科のヘントウの仁)などに特徴的な甘い香りの成分だ。
 ビワの種子を粉末にした食品から、天然の有害物質が高い濃度で検出され、製品が回収される事案が複数あった。
 「ビワの種子が健康に良いという噂を信用して、有害物質を高濃度に含む食品を多量に摂取すると、健康を害する場合があります」と、農林水産省では注意を呼び掛けている。 シアン化合物を含有する食品の取扱いについて(厚生労働省 2017年11月6日)

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